ここでは台湾におけるコンビニのフランチャイズ事情を見てみることにする。
まあ漢字で何となくの感じはつかめるので()、一通り見てみる。
加盟するには二通りがあり、1つは特許加盟、もう1つが委託加盟である。特許加盟は自前で店舗を保有し運営する形で、委託加盟は統一超商側が店舗を提供し、その店舗で運営する形である。
日本のコンビニでも、AタイプとかBタイプとか言われるパターンのものである。
いずれも、年齢が55歳以下であり、学歴が高中職(高級中学≒日本の高等学校程度)以上程度であることが条件。身体健康で信用もあることも必要。
特許加盟の場合、その店舗を5年以上自前で保有し、なおかつ営業面積が40坪(坪の単位は日本のものと同じで、約3.3㎡(平方メートル)。よって40坪は約132㎡)以上であることが条件。単身でもよいが、専職(フルタイム)で勤務する必要がある。
委託加盟の場合、基本的には夫婦経営がベースだが、1人フルタイムの店長格を用意できるのであれば単身経営も可能。
加盟金として特許加盟は30万元(約120万円)、委託加盟は最低30万元だが、店舗の業績で変動しうるとある。
利潤分配だが、計算額を見ると明らかに特許加盟(自前での店舗)が上回っており、フランチャイザー側に分配される額であると推測される。特許加盟の場合、月毛利額(売上総利益=粗利益)の63.5%とあるので、マージンは36.5%と推測される。
委託加盟の場合、月50万元(約200万円)までは43.5%の分配(=56.5%のマージン)、そこから60万までは51.5%、70万までは41.5%、80万までは36.5%、それを超えると33.5%となる。これがまさか全体の金額が変わるとも思えないので、その金額区間に応じた累進であると推測される[1]。
履約擔保(担保金)として、現金60万元または150万元の不動産の抵当が必要となる。
その他、電気代半額負担、請求書分を40%(委託加盟は58%)負担することになっている。
経営補助金として1店舗あたり2万元(約8万円)が補填され、また最低収入保証として特許加盟で310万元/年(約1240万円)、委託加盟で270万元/年(約1080万円)がある。
その他いろいろあるが省略する。
統一超商よりは緩く、年齢は60歳以下となっている。また、4週間の教育訓練が必要とある。
加盟金は30万元と統一超商と同じではあるが、他草約金(教育訓練費)10万元、開店準備金20万元、保証金現金60万元が必要。また、保証人を1人立てる必要がある。
チャージ額は特許加盟が35%(利潤分配65%)、委託加盟が変動制。
24時間営業・年中無休が条件となっている模様。
経営の場合、単身或いは2人(関係は不問)必要で、専属経営または法人である必要がある。また、保証人を2人立てる必要がある。
条件は他の3大超商に比べると緩く、他チェーンからかなりの数の鞍替えが起きていると思われる。
とはいえ、やはりブランド力では統一や全家に及ばないのも、日本の大型チェーンと地域チェーンの差に似ているのであろう。
日本国内でのコンビニを含めて比較してみる。
Aタイプ/Cタイプ等表記は企業によってまちまちではあるが、統一超商の「特許加盟/委託加盟」の表記に統一する。
特許加盟 (自前店舗) チャージ額(フランチャイザー側に抜かれる額) (注釈がない場合は売上総利益から) |
委託加盟 (借り物店舗) チャージ額(フランチャイザー側に抜かれる額) (注釈がない場合は売上総利益から) |
加盟金 | 保証金 | 店舗装飾費 | 最低保証金額(年) | |
統一超商 | 36.5% | スライドチャージ制(48.5~66.5%) 80万元以上の場合:44万3000元+80万以上の分の66.5% (手取りは33万7000元+超過分の33.5%) |
30万元(非課税) | 現金60万元(約240万円) 或いは150万元(約600万円)の不動産の抵当 |
特許加盟/180万元 | 特許加盟/310万元(約1240万円) 委託加盟/270万元(約1080万円) |
全家便利 | 35% | スライドチャージ制(55~70%) 65万元以上の場合:37万1000元+65万以上の分の70% (手取りは22万9000元+超過分の30%) |
30万元(非課税) ほか、教育訓練費10万元 開店準備金20万元 保証金60万元 |
現金60万元 | 特許加盟/160万元 | 特許加盟/300万元(約1200万円) 委託加盟/260万元(約1040万円) ※非24時間営業店など、 経営補助金の対象外店舗は、 各262万元(約1250万円)/250万元(約1000万円) |
OK超商 | スライドチャージ制 (20~28%、 内訳は非公表) 別途業績によるボーナス有 |
スライドチャージ制(40~68%) 内訳は非公表 |
30万元(非課税) | 現金60万元(約240万円) 或いは第一位での 150万元(約600万円)の不動産の抵当 |
特許加盟/90万~120万元 | 特許加盟/240万元 委託加盟/100万元+粗利額の18% |
ハイライフ | 20% | スライドチャージ制 内訳は非公表 |
30万元~50万元 (非課税) |
現金60万元(約240万円) | 特許加盟/70万~150万元 | 特許加盟/240万元 委託加盟/100万元+粗利額の16% |
(参考) セブンイレブン(日) |
45% (24時間営業は43%) 他、減額制度あり |
スライドチャージ制 (公式サイトではあくまで非公表の模様) 他サイトによると、54~74% |
特許加盟/315万円 委託加盟/260万円 |
不明 | 公式サイト上は未記載 | 24時間営業/2200万円 それ以外/1900万円 |
(参考) ローソン(日) |
スライドチャージ制 (21%~41%) ※600万円超が21% 非24時間店舗は+3% |
スライドチャージ制 (45~70%) FC-5Cn契約の場合は各+1% 非24時間店舗は+3% |
110万円 ほか、出資金・開店準備金が必要 |
なし? | 特許加盟/オーナー負担 | 特許加盟 24時間営業/1980万円 それ以外/1680万円 委託加盟 24時間営業/1860万円 それ以外/1560万円 |
(参考) ファミリーマート(日) |
スライドチャージ制 (36~49%) 1FC-B契約は各+3% |
スライドチャージ制 1FC-C契約の場合は49~59% 2FC-C契約の場合は59~69% (いずれも300万/月までは59%、そこから上がるか下がるか) |
契約時必要資金150万円 ほか、手元資金として 1000万円程度を用意できることが条件 |
なし | 特許加盟/オーナー負担 | 金額は非公表 (FAQ) |
(参考) デイリーヤマザキ(日) |
500万以下は30%、 超過分は23% 非24時間店舗は各+2% デイリーホット商品(店内惣菜等)は18% |
スライドチャージ制 (40~65%) ※360万円超は65% デイリーホット商品は27% |
計220万円 デイリーホット(店舗内惣菜)のない店舗は 計180万円 |
なし | 特許加盟/オーナー負担 | 委託加盟/1680万円 |
※いずれも、フランチャイザーへの分配金を支払った後に電気代等(一部フランチャイザーが負担するものもある)や人件費をフランチャイジー=経営者側が負担する。